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映画「46億年の恋」 松田龍平、安藤政信 [映画]

 三池崇史監督による、一言で言えば、頭で理解しようとすると極めて難解な映画です。完成試写会では、監督の自己満足とは裏腹に、観終わった人が口をポカンと開けていたという話を聞きましたが、まさに、そんな感じの映画です。

 1光年先から地球を見ると1年前の地球が見える、千光年先からだと千年前の光が見える、万光年だと・・・という冒頭の朗読シーンからして、まずもって意味不明です。

 勇者の役で舞踏家の金森穣さんが踊るシーンも、いささか意味不明ですが、映像的には美しいものがあります。それを見る老人と少年も、また美しい。人にとって、老いは避けがたいものですが、美しく老いるということはできると思います。また、男になるための儀式に臨む少年の期待と不安に満ちた表情、喉の動きや胸の動きも、なかなか美しいと思います。(この少年を演じている役者は誰なのでしょうか。どなたか、ご存じの方はいらっしゃいませんか?)

 とは言え、本編のストーリーとの関係では全く意味不明のシーンです。正直に言って、この場面で、何を伝えたいのか、さっぱり分かりません。しかし、意味は分かりませんが、あのシーンは、なかなか美しいと思います。いわゆる耽美というものでしょうか。

 セットやロケをほとんど行わず、パチンコ屋の地下のボーリング場跡地で撮影したという、この映画は、それだけで実に不思議な作品に仕上がっています。
 映画と言うよりも、アングラ劇場の芝居をそのまま映像化したという風に思って見た方がむしろ分かりやすく、最初から芝居として上演した方が良かったのではないかとさえ思わせる内容です。

 男同士の愛を描いたという宣伝文句もありましたが、主演の二人、有吉淳(松田龍平)と香月史郎(安藤政信)のセックス・シーンはありません。強いて言えば、香月(安藤)の頭を有吉(松田)が抱えるシーンがあったり、有吉が香月に抱いてくれと頼むシーンがあるぐらいです。

 設定の上では、有吉(松田)はゲイバーで働いていた訳ですし、香月(安藤)も刑務所内の作業農場で男とのセックス・シーンが目撃されているということになっていますから、二人ともゲイないしバイということになっていますが、二人の関係は、あくまでもプラトニックなものです。

 松田龍平くんは「御法度」の美少年剣士加納の妖艶な感じをそのままに、安藤政信くんは「バトル・ロワイアル」での殺人少年桐山の残虐なイメージをそのままに、それぞれ引きずったような役を演じています。
 有吉(松田)は寡黙で不気味、何を考えているのか分からないという感じですが、香月(安藤)の方は、最初から何も考えていないという感じで、正反対とも言えるし、他人から理解され得ないという点では、とても良く似ているとも言えます。
 二人のうち、どちらが良いかというと・・・、安藤くんの方でしょうか?

 また、兄の窪塚洋介くんは、「溺れる魚」で女装癖のある刑事の役を熱演していましたが、弟の窪塚俊介くんは、損得勘定で男に身体を委ねる受刑者(雪村)の役を好演しています。
 そういえば、「溺れる魚」でゲイのダンサー役を演じた成宮寛貴くんが踊るシーンも、なかなか綺麗でした。

 若手俳優の演技も好きですが、刑務所所長(石橋凌)と警部(石橋蓮司)、こうしたベテランの渋い演技も好きです。若いときには、何をやっても格好良くて、様になるという人でも、歳を取ると・・・、ということが良くありますが、歳を重ねるごとに旨みが増す、まさに熟成するというような感じの役者も見ていて、なかなか楽しいものがあります。


映画「46億年の恋」公式ページ
http://www.cinemart.co.jp/46/


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