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小説「今夜ウォッカが滴る肉体」 望月佑 [小説・写真集]

【発売日】 2009年3月28日(土)
【著者】 望月佑
【定価】 1470円(税込)
【ISBN】 978-4-06-215128-3
【発行】 講談社
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【感想】
 作者の望月佑くんは、現役の歌手兼俳優。美少年と言っても良い好青年。
 「望月(満月)」というペンネームは、月が好きだからか?

 小説の主人公は10月16日生まれ。名前は「十六夜(いざよい)」、満月の次の夜の意。
 十六夜の昔の親友アサダの妹の名前は「ルナ」。月の意。

 作者が月を好きなのは、自分が太陽には成れないことを自覚しているからか、身近に太陽のような人間がいるからか・・・、おそらく後者だろう。

 さて、「才気に満ちあふれた文章で、人間の不確かな存在と想いを描く俊英」という作者に関する出版社の宣伝文句は少々大袈裟過ぎるが、この小説を一種の私小説として読めば、人気商売の不確かさを切実に感じている作者の心情がよく表現されている秀作である。
 この小説は、○○新人賞などを受賞できるほどの内容ではないと思うが、一読するぐらいの価値はある。

 最初の数ページを読めば、作者が心を病んでいるということは分かるが、ある意味、大なり小なり、人はすべて病んでいる。病んでいない人は、単に自分が病んでいることに気が付かない幸せな人と言うだけのことである。
 演劇に病み付きになって、毎月10回も劇場へ通ったり、同じ演目を2回も3回も繰り返し観るような人は・・・、既に病気である。

 ただし、1,470円という値段と厚みの割には文字は少ないので、2時間もあれば、読了してしまうのは、やや物足りない。また、結末が不自然で唐突なのは、まさにタイトルどおりか、あるいは、続編への布石か。

 ちなみに、タイトルの「今夜ウォッカが滴る肉体」は、物語の中で、主人公の昔の友人、アサダが主役を演じる映画のタイトル。
 この小説と同様、ラストは唐突で不自然な終わり方をする。

 偶然を装った不自然な出来事の数々をラストで、きちんと説明できたのは、なかなか立派だが、唯一、説明し切れなかったのは、物語の冒頭、十六夜が映画「今夜ウォッカが滴る肉体」を観ることになったアクシデントであるが、これは神様のイタズラという奴なのかも知れない。
 人生、そんな偶然やミラクルも悪くない。

 望月くんのインタビュー記事が下記↓に掲載されています。
http://moura.jp/bungei/vodka/

今夜ウォッカが滴る肉体

今夜ウォッカが滴る肉体

  • 作者: 望月 佑
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/03/28
  • メディア: 単行本



タグ:望月佑
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