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映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」 広末涼子、阿部寛、薬師丸ひろ子、劇団ひとり [映画]

 今(2007年)から17年前、バブル真っ盛りの1990年の日本へ乗り込んで、その後のバブル崩壊を止めるという荒唐無稽の物語ですが、バブル時代を知っている人には妙に昔懐かしく感じる映画です。「あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ」(「時代」中島みゆき、1975)という感じです。

 終電後の深夜の仕事帰りにタクシーが全然捉まらなかった時代から、客待ちタクシーが長蛇の列をなし、たとえ1メーターの客でも歓迎される時代へと変わるのは、今から思えば、ほんの一瞬のことでした。
 坪20万円だった実家の土地が瞬く間に100万円になり、バブル崩壊と共に、あっという間に元に戻った時代・・・。後輩の大卒新人証券マンの年収が1000万円を越えていた時代・・・、そして、バブル崩壊と共に倒産、失業、行方知れず・・・。
 バブル景気とは実に不思議な時代でした。

 この映画では、バブル崩壊の原因を一部の悪徳官僚と海外のハゲタカ・ファンドの所為にして、阿部寛、薬師丸ひろ子、広末涼子の親子?3人が成敗するというストーリーです。
 実際のバブル景気の実態や崩壊の原因は複雑多岐に渡るのでしょうが、娯楽映画としては、こんな具合に簡単な筋書きにしても良いのでしょう。映画とは所詮、楽しめれば良いのですから。最近の邦画が好調な原因は、この娯楽に徹した割り切りにあるのではないかと感じ、素直に楽しんでいます。

 1985年、ニューヨークの名門ホテル、プラザホテルを会場にして行われた先進各国の財務大臣、中央銀行(日本銀行)総裁らによる国際会議にちなみ、一般に「プラザ合意」と言われる国際的な取り決めにより、日本は急激な円高に見舞われました。1ドルが一時100円を切るような現在以上の凄まじい円高です。
 普通、円高になると、輸出が減少し、日本経済は不景気になる筈なのですが、この時の日本は、なぜか景気は悪くなりませんでした。今と同様に金融緩和により、金融市場には実際の需要を遥かに上回る資金が溢れ、円高による輸出の減退で設備投資が振るわない中、余ったお金は土地、株等への投資、投機へと向かい、それが実体を伴わない架空の需要を産み出していたからです。
 端的に言えば、土地の値上がりを前提として借金をして生活するというような状態です。土地が値上がりする限り、常に含み資産が増え、更なる借金と消費が可能になるのですが、生産性を無視した土地価格が長続きする筈がありません。
 結局、土地取引の規制強化を契機として、バブルは弾けてしまいます。仮に、映画のように芹沢良道局長(伊武雅刀)が失脚していても、バブルは必ず弾けたことでしょう。バブルとは、そういうものです。ちょうど、今の中国経済のように・・・。

 バブルを産み出した原因の一つは、法律や行政による様々な規制でした。農地の取引には数多くの制限があり、周りが市街化して住宅地と化しても依然として農地としてしか使えない土地が沢山あるというような状態では、当然、わずかしかない宅地や商業地が高値で取引されるようになります。
 また、農地以外にも土地利用には様々な制約があり、大型スーパーや高層マンションの建設にも制限があって建てられる場所が限られていたので、そうした土地には高値が付きました。
 本来、土地の値段とは、農地であれば、その田畑で生産される農産物の価格、工業地であれば、その工場で生産される製品の価格、商用地であれば、その商店で売り買いされる商品の価格、住宅地であれば、その家に住む人が支払う家賃によって、自ずと決まります。これが資本主義、自由経済というものであり、土地の価格は土地という資本が産み出す財貨・サービスの価値によって決まるはずです。
 バブルの時代は日本が資本主義ではあっても、決して自由経済ではなかったが故の歪みが極端な形で露呈したものといえるでしょう。護送船団方式で、銀行や証券会社を守っていた時代だからこそ、成立した時代です。

 ところで、久し振りに見た広末涼子さんは、もう26歳で一児の母ですが、相変わらず可愛いですね。ボーイッシュなスタイルが似合っていました。

 薬師丸ひろ子さんは、かつての美少女アイドルから、今ではすっかり母親役が定着してしまいました。劇中、阿部寛の「老けたな」というセリフに、思わず「確かに」と頷いてしまいました。もう42歳ですからね。
 その阿部寛さんも薬師丸ひろ子さんと同い年で、バブル崩壊では辛酸を舐めた口の一人とか・・・。最近は、すっかり復活して、映画にドラマに大活躍ですが、この調子がいつまでも続くか・・・。
 その他、劇団ひとりさんも忘れてはいけません。悲惨なバブルの犠牲者か、あるいは不景気なときほど芸人が流行るという意味では恩恵を受けたと言うべきか・・・。

 最後に、ドラム式洗濯機がタイムマシンという設定に最初、ちょっと呆れましたが、車や引き出しがタイムマシンになることを思えば、あながち有り得ない話でも無いかも知れません。


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コメント 2

のん

はじめまして。
映画や演劇の感想面白いです。
これからも楽しみにしています~!
by のん (2007-03-07 11:23) 

frhikaru

のんさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
所詮は独り言なので、好き勝手なことを書いていますが、時々、お越し頂けば幸いです。
by frhikaru (2007-03-10 10:31) 

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