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映画「陰日向に咲く」 岡田准一、塚本高史、三浦友和 [映画]

 54刷100万部が売れたという劇団ひとりさんのベストセラーが原作です。原作は5つの短編からなるオムニバス形式ですが、案外、いける短編集です。今回、4つの短編を一部、改変して、岡田准一くん主演で映画化しています。

 原作も泣けますが、映画は原作以上に泣ける作品に仕上がっています。ジュピター山村が死に際して、死んだ息子の健一になりすましたつもりのシンヤ(岡田准一)に宛てた手紙をシンヤが読むシーンは、特に泣けます。この部分は、原作の小説にもありますが、小説では、ここまでは泣けません。やはり映画、映像の力でしょう。

 映画の出来は悪くありませんが、物語としては原作の方が面白い。
 何よりも塚本高史くん演じるアイドル・オタクゆうすけと元アイドル・ドロ子の物語と、ギャンブル好きの青年シンヤの物語が絡まないのが詰まらない。

 また、原作には登場しない寿子(鳴子の娘)がシンヤと絡む物語は、さすがに不自然過ぎるし、リュウタロウとシンヤが親子というのも話が出来すぎていて、しらけてしまう。原作の良さは、5つの物語がちょっとずつ、さりげなく微妙に絡むところにあるのだが、その良さが消えてしまっている。

 しかし、リュウタロウとシンヤの最後の再会シーンは・・・泣けます。態とらしさが鼻に付きますが、それでも、このシーンは良い出来です。
 思わず、ホームレスを題材にした舞台「ブルーシーツ」で、ギャンブル好きで借金塗れの優(米原幸佑)が横浜の実家に帰った時の姿を想像してしまいました。出来の悪い子供を持った親なんて、あんなものなのでしょう。

 ちなみに、原作では、それぞれの人物の関係は・・・

ドロ子(=武田みやこ)の幼なじみで、アイドル・オタクの青年(塚本高史)・・・コンビニの期限切れ弁当をリュウタロウ(三浦友和)と争い、リュウタロウにホームレスを止めて、エリート・サラリーマンに復帰する決意をさせる。(原作では「僕」のみで名前はない。)

雷太=モーゼ・・・シンヤと同じ公衆電話を使って、ジュピターに電話を掛けたことから、シンヤがジュピターに、オレオレ詐欺を仕掛けるきっかけを与える。(映画とほぼ同じ)
リュウタロウのホームレスとしての先輩。(映画とほぼ同じ)
ドロ子の幼なじみで、アイドル・オタクの青年とも、中学の時に電車の中で出会っている。(映画にはない。)

シンヤ・・・原作での職業はバスの運転手ではなく、駅員。失恋して、駅のホームで泣き崩れているリュウタロウの娘を見て、飛び込み自殺をするのではないかと恐れて、何とか励まそうとする。

リュウタロウの娘・・・ドロ子の話題で盛り上がり、憧れの男と一夜を共にする。TV局のホームページに、唯一、本当に「ドロ子、大好き」と書き込む。

 ところで、原作の雄助(ゆうすけ)は、リュウタロウの娘の友達で、小説「陰日向に咲く」に収録されている5つの短編の内の一つ「ピンボケな私」に登場する人物です。
 しかし、この「ピンボケな私」は、絶対に映像化できない短編で、作者の劇団ひとりさんのセンスの良さを窺わせるものですが、当然、映画では割愛されています。興味のある人は原作もお読み下さい。

 最後に一言、三浦友和さんは大きい。岡田准一くんが小さいので、並ぶと本当に親子のように見える。


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