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「コール」(東京グローブ座、新大久保) 小山慶一郎、草刈正雄 [演劇]

【解説】
 ニューヨークの街角(実際の撮影場所はロサンゼルス)を夜の繁華街「新宿・歌舞伎町」に置き換え、ノンストップ・サスペンス映画「フォーン・ブース」、ラリー・コーヘンの原案を大胆に脚色し、主人公は小山慶一郎くんが務めます。
【物語】
 山崎[やまさき]眞紀夫(小山慶一郎)は傲慢で嘘をつくことをなんとも思わない男だが、他人の嘘や間違いには敏感な面もある。新進気鋭の作家を妻(野波真帆)に持ちながら、自分が目をかけているネットアイドルの明日香(井村空美)をモノにしようと、毎日、新宿歌舞伎町の電話ボックスから明日香に電話をかける。
 ある日、明日香との電話を切った途端、公衆電話のベルがけたたましく鳴り始め、眞紀夫は思わず受話器を手に取ってしまう。受話器から男の声で、電話を切るな、切ったら、殺す。
 電話ボックスに閉じ込められる眞紀夫。周到に用意された罠。冷酷非情な狙撃犯。殺人の容疑がかかる眞紀夫。包囲する警官隊(草刈正雄、宮崎吐夢)。
 眞紀夫は、電話ボックスから脱出できるのか。

【出演】 小山慶一郎、野波麻帆、井村空美、森一馬、西慶子、近藤智行、中川真、大森輝順、宮崎吐夢、草刈正雄
【演出】 大木綾子(フジテレビ ドラマ制作センター)
【日本語版台本】 橋本 博行・鈴木智尋(新宿ミサイル)
【期間】 2009/1/30(金)~2/22(日)
【会場】 東京グローブ座
【料金】 S席8,500円/A席7,500円/B席5,500円(全席指定・税込)
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【感想】
 映画「フォーン・ブース」の焼き直しですが、宣伝文句通り、かなり大胆に脚色してあり、とても面白い演劇作品に仕上がっています。
 舞台を新宿・歌舞伎町の雑踏に置き換えてはいますが、主人公が閉じ込められるのは「電話ボックス」ではなく、「phone booth」です。当然、電話機もアメリカ仕様で、『GTE』(アメリカ中西部やテキサス州、カリフォルニア州北部を中心とした米国大手通信会社)のロゴ入りです。使える硬貨はもちろん、5,10,25セント、それに滅多に見掛けない1ドル硬貨です。この辺りは、大木綾子さんの拘りなのでしょうか。

 小山慶一郎くんは120分、休憩なしの上演時間中、最初から最後まで舞台上に居て、なおかつ、そのほとんどを狭いブース内で過ごします。セリフ量も膨大ですが、ほぼ完璧に頭に入っているようで、聞いていて、特に気になるようなミスは無かったのは立派です。あの調子なら、身体の動きのない朗読劇でも暗唱できそうです。

 小山くんが演じる山崎眞紀夫は、まるで宛て書きしたような感じで、小山くんにぴったりのキャラ設定になっています。
 電話ボックスから脱出することは不可能なことではないのだが、その結果、誰かが死ぬことになるという設定の中で、本当は逃げ出したいのだけど、たとえ見ず知らずの人間でも目の前で死ぬ・殺されるのは嫌だという眞紀夫独特のジレンマを表現した小山くんがなかなか良かった。
 眞紀夫は傲慢で嘘をつくことをなんとも思わない人間なのだから、たとえ愛する妻でも他人の死など気にせずに、さっさと逃げれば良いのですが、なぜか逃げないで、妙に臆病で他人の死さえ恐れる小心者というのは、実は素の小山くん、そのものなのかも知れません。
 グアムの空港で見掛けた素顔の小山慶一郎くんは、今時の若者で、周囲の迷惑など考えずに仲間とはしゃいでいましたけど、稽古場では、なかなか礼儀正しい好青年のようですし、誰にでもYesというお調子者でもあるそうなので、そういう意味では、今回の山崎眞紀夫という役は、小山くんのはまり役かも知れません。

 演出の大木綾子さんは、小山慶一郎くんの前作「ロス:タイム:ライフ」の演出も手掛けています。テレビドラマの脚本・演出が本職らしく、舞台でも面白い映像の使い方をしています。
 電話ボックスを3階席から映した鳥瞰図を舞台の後ろのスクリーンに投影したり、2台のハンディ・カメラを舞台に上げて、主人公を左右から大きく撮った映像を舞台周囲に配置したディスプレイに映したり、電話ボックスを回転させて、360度、客席に見せたりしてくれます。
 歌舞伎町の広場の真ん中に眞紀夫が閉じ込められている電話ボックスがあって、四方八方から、その模様をテレビカメラが映していて、さらに近くのビルから、斜め上からも映しているという状況を舞台上で再現してくれます。
 まるで、テレビの報道特集を見ているような感じです。カメラが動かせないのならば、電話ボックスを動かしましょう発想も、なかなか新鮮です。

 草刈正雄さんはハンサム云々と言われて、からかわれます。1970年にデビューして、「風と雲と虹と」(1976年、NHK、加藤剛主演)に出演していた頃の草刈正雄さん(1952年生れ)は、本当にハンサムで格好良かったのですが、さすがに歳です。
 今でも相変わらずダンディで格好良いのですけど、老けたなぁと言う感じがします。とは言え、小山慶一郎くん(1984年生れ)が生まれる前から、役者をしているのですから、当然です。30年後の小山くんを舞台上で観る機会があったら、やはり老けたなと思うのでしょうが、その時、僕が生きているかどうか???

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